やわらかな日差しの桃源郷
レーから西へ
アルチへと向かう。アルチ行きのバスが見当たらなかったので、もっと奥地へ向かうバスに乗り込んだ。同じことを考えている人が多かったのか、大人数を乗せてバスは出発した。
食堂が並ぶ街道の村
レーから西へ向かうバスやジープが立ち寄るニムーの村。街道の雰囲気を持つ集落は、ラダックの中では珍しい。
休憩時間
バスから人々は降りてゆくが、腹が減っていなければ特にすることもない。バスの周りでただ、時が過ぎるのを待つ人々。
ツルツルタイヤ
突然、運転手がタイヤ交換を始めた。長く使い込まれたタイヤの表面はツルツル。よくこんなタイヤで極寒の土地が走れるものだと妙に感心してしまう。
一期一会の運命共同体
「おい、出発らしいぞ。行くぞ」。見知らぬラダッキが声を掛けてくれた。同じバスに乗る者同士は束の間の仲間。助け合って目的地を目指す。
大自然の中でポツリと
「アルチはすぐそこだ」とバスの運転手は行っていた。降りたもののアルチはどこにあるのだろう。雪解け水を含んだ緑青のインダス川がゴウゴウと横を流れてゆく。
揺れるタルチョ
タルチョがはためく橋を渡る。違うエリアに足を踏み入れるのだという気持ちが高ぶってくる。そんな気持ちにおかまいなしに、タルチョは冷静にハタハタと揺れているだけだった。
透明な空気
2月という季節は、空気が澄んでいるため、とてもきれいに景色が見える。地球上に生きていてよかったなぁ!という風景が目の前に広がっていた。
アルチ村の入り口
橋を渡り、坂を登っていくと、道路をまたいで二本の旗が揺れている。どうやら、アルチ村はあの旗の向こうにあるらしい。
アルチの最初の風景
旗のある坂を登りきり、下っていくと、チョルテンと砦跡が姿を現した。
機織りのおじさんと
言葉は分からない。でも、「アルチへようこそ」と言ってくれた気がする。おじさんは機織りの手を止めて、現地の言葉で話しかけてくれたのだった。
日本人の印象
「お兄ちゃん、どこの人?ジャパニ?」と聞いてきた。「ジャパニだよ」と答えると、「ジャパニだジャパニだ」と言いながら、近寄ってきた。理由など分からなくていい、ただうれしかった。
出会いの記念に
子どもたちの興味は、自然と手に持っていたカメラに。「撮って、撮って」というのでパチリ。この写真を今すぐあげることができたらいいのに。
ゲストハウス
荷物を持ったままウロウロするわけにもいかないので、ガイドブックの中で目についた宿に向かってみた。山がちなアルチの中でも平地に建てられた宿を見つけた。
猫のひなたぼっこ
誰かいませんか?と問いかけると、ニャーと声がした。猫が日向ぼっこをしていたのだ。
宿の主人の喜び
「どうかしました?」と宿のおじさんが出てきた。泊めてほしいと言うと、「久しぶりのお客さんだなぁ」と少しうれしそう。冬のラダックに旅行者は少ないのだ。
離れ
離れがあるけど泊まってみる?と聞かれたので「見せて」と言うと、「あそこなんだけど」と指差すおじさん。あれは高そうだ…、ということで母屋に泊めさせてもらうことに。
陽当たり抜群の快適な部屋
案内された母屋の部屋は快適そのもの。部屋の中央にはブカリという薪ストーブが置かれ、とても温かい。冬のヒマラヤ山中にも関わらず、夜には布団を蹴飛ばして寝ていたのだから。
働く宿のおばさん
宿の部屋から外を覗いてみると、宿のおばさんが作業をしていた。「久しぶりのお客さんだねぇ」とでも言っているのだろうか。
春を待つ畑
遠くを見ると、畑が春を待っていた。乾燥した冷たい空気の中に感じる春への期待感。この空気が緩んでくるにしたがって、畑には青々とした麦が生え、黄金色に色付き、アルチの人々の胃袋を満たす。
ダイナミックアルチ
宿の屋上に上がってみると、これまた絶景が広がっていた。万年雪を抱いた山々と荒涼とした山。茶色い乾燥した大地。あまりにもダイナミックな光景と澄んだ空気に、日本の忙しさを対比させてみる。
畑の土と風の歌
散歩へと出掛けた。段々畑が川に向かって伸びている。歩くたびに砂がバサバサと舞い上がり、風に乗ってどこかへと消えてゆく。
地球という生き物
あの山は岩なのか、土なのか。大昔には海底だった山々に思いを馳せる。今では、標高3000mを超す高地で「山」と呼ばれているのだ。
山の存在感
山は規格外のスケール。山のふもとで素朴に暮らしている人々は、山の偉大さを知っている。
空は近くて広い
空が近くて広いこともラダックの特徴だ。ここアルチは離れの村なので、夜には星が数えきれないほど現れる。その時、旅人は宇宙に思いを馳せる。
村の電力生命線
村の中心部に電柱があり、各家に電気を供給していた。この小さな機械が故障すると村への電気の供給は止まるのだろう。どうりで停電も多いわけだ。
コーラーのイラスト
冬のアルチでは、閉まっている店がとても多い。目抜き通りにあるレストランも、ドアが閉まっていた。夏、コーラーが飲めることだけは間違いなさそうだ。
子どもたちのオアシス
数少ない開いている店は、雑貨屋だった。とはいっても、冬なので在庫は品薄。さっき会った子どもたちは、ここでオヤツを買っていたのか。
バスからのお知らせ
クラクションがプー、プーと聞こえた。音がした方を見ると、一台のバス。一日に数回、バスが出発するようだ。
バスの運行状況は
どうやらバスはレーに向かうらしい。ガイドブックには朝の7時と書いているが、今は夕方の17時。時期によってバスの出発時間は大きく変わるという。
アルチの景観
レーへ向かうバスを見送って、宿に向かう。畑と家と木。そして、山と空。ラダックの典型的な光景が、ここアルチでも広がっている。
村の精神の拠り所
村の中に大きなマニ壇がある。アルチの人々は、その前を通る時に必ず回していくマニ壇である。奥には石積みの塀が小道を作り、村の中に迷路を作っている。
アルチの魅力とは
アルチは小さな村。仏教美術の宝庫という価値観もあるが、ゆったりと生活を営むラダッキのイメージは、ここアルチにあると感じたのだった。日常の中に静かに光る美しさ。アルチの日常は美しい。